映画感想 トイ・ストーリー4 ネタバレ解禁版
注意!!
以下の内容は一切ネタバレを自重しておりません。
「まだ見ていない」という方は万全の注意を払うか、ページを閉じてすぐ劇場へ行ってください。
自重版はこちら→映画感想 トイ・ストーリー4 ネタバレ自重版 - 暇人による無駄に長い映画感想
さて、トイ・ストーリー4には賛否両論様々な意見が寄せられました。
私も本作に関しては「良かった」と心から思えるか?と聞かれると疑問符がついてしまいます。
それは、私の中における「続編でやってはいけないこと」の定義が原因です。
私の思う「やっちゃいけないこと」。
それはズバリ、「前作の否定」です。
物語の進展や急展開のために過去の内容を易々と覆すことは、シリーズを終焉に導く最大の要因だと思っています。
私はこの例として、「スターウォーズ/最後のジェダイ」を挙げたいと思います。
この作品が、公開直後に世界中で大論争を巻き起こしたということは記憶に新しいでしょう。
曰く、「神話への叛逆」です。
「フォースの覚醒」以前の6作で語られてきた「スカイウォーカー一族の神話」を、「最後のジェダイ」はたった一作で壊滅させたのです。
この行為を、「マンネリ化からの脱却」や「良い思い切り」として評価する人もいれば、「シリーズの崩壊」「商業優先の滅茶苦茶なシナリオ」として酷評する人もいました。
そういったことが、トイ・ストーリー4にも起こっているのです。
終盤、ウッディはボニーやバズたちの元を離れるという選択を選びます。
かつて、ウッディは博物館に展示されて名声を得るよりもアンディのおもちゃとして日々を暮らすことを選ぶほど、「子供のそばにいる」ということの重要性を重んじていたはずなのに、この選択はなんなんだ、という意見が噴出しました。
私も、そのシーンにたどり着いた時、頭が空っぽになってしまいました。
あまりにも唐突なウッディの心情の変化に、ついていけなかったのです。
たしかにおもちゃとはいえ人間的な感情がある以上、心情が変わるということはありえないことではありません。
そのため、この決断を「ウッディの成長」として好意的に見ることができないわけではありません。
それでも私がこの結末を受け入れられなかったのは、とにかく「唐突だった」の一言に過ぎます。
なぜなら、そのシーンの手前まで、ウッディはフォーキーとともに必死にボニーの元へ帰ろうとしていたからなのです。
この展開を迎える伏線のようなものがあった気がしないのです。
これまでの三部作で深い友情を築いていたウッディとバズが別れるシーンは、この作品に愛着が深い人ほど、ショッキングが大きいと思います。
とはいえ、そんな展開が物語としてありえないというわけはありません。あらゆる出会いには別れがある。それは正しい。それでも私がこれを呑み込めなかったのは、ただただ「唐突だった」からです。
ウッディはアンディとは違いボニーにはあまり遊ばれませんでした。
性別の違いから、アンディのときのように上手くいかないのは仕方ないのかもしれません。
しかし、この事実は「3」終盤のアンディとの約束を裏切っていることに違いはありません。
アンディがウッディと別れるのは、本人にとって相当厳しい決断だったと思います。
だというのに、本作はそれを冒頭で易々と無駄にしました。
落ちぶれたウッディを見たいファンでもいたのだろうか?否、そんなのはありえない。おもちゃとして相変わらず子供を喜ばせる姿のほうが見たいに決まっています。
この点で、本作は「3」のラストを否定していると言えます。
「3」で与えられた希望を、本作はあっさりと破ったのです。
ウッディはボニーの元に戻るのが嫌になってしまったのか?
本作で終始一貫したウッディの散々な扱いを見て、「そりゃ別れたくもなるがな」という感想を抱く人もいます。しかし、腐ってもあのウッディですよ?
先にも書いたとおり、子供を楽しませることを至上の命題としていた彼が、一体どういう経験をしたらあのような変化をしてしまうのか?
そのあたりの過程が少なく、あったとしても薄かったというのが私の印象です。
最大の疑問は、なぜボニーをこんなキャラクターにしてしまったのか、ということです。
前作にてアンディからおもちゃを譲り受けたボニーですが、あんな描かれ方では彼女に対する印象は最悪です。
ボニーにヘイトを向けさせる意図が掴めませんでした。
ただただ、アンディの願いを踏みにじっているとしか思えませんでした。
本作でもう一つ留意しておくべきポイントとして、「既存キャラクターの活躍が少ない」ということが挙げられます。
本作はずっとウッディやボーたちにスポットが当てられており、それらとは別行動のお馴染みのメンバーは滅多にスクリーンに姿を現しません。
「全くなにもやらなかった」わけではないとしても、どうにもアクションが少なかったことは否めません。
そのかわりとして新キャラクターたちが縦横無尽に暴れまわりますが、「最終作」なら彼ら含め全員で大暴れするべきじゃないのか?と思いました。
とにかく、腑に落ちないのは「続編としての意義」。
「3」の結末を踏みにじり、ボニーに意味もなくヘイトを集めさせ、そして信じたくなかった結末を迎える。
これが「3」で終わっていたら、ウッディはバズたちとともにずっとずーっと子供たちを楽しませていたのでしょう。
そんな明るい予想を直々に破壊された以上、本作を素直に肯定したくありません。
ウッディの成長に関しても、描写の少なさのせいで理解ができないまま終わってしまいました。
もし、本作の出来事をアンディが知ったら、どう思うでしょうか?
信じて送り出した大切な友達が、見放されて結果的にどこかへ行ってしまったと知ったら...。
託した望みは、彼の知らぬところで、ひっそりと消え去ってしまったのです。
ウッディの決断も、アンディのことを思えばありえないことだと思います。
「あなたはまだ本当のトイ・ストーリーを知らない」
はたして、これが本当に「本当のトイ・ストーリー」だったのでしょうか?
以上で、私の「トイ・ストーリー4の感想」を閉めたいと思います。
ありがとうございました。